本文へ移動
有限会社 金文堂信濃屋書店
〒239-0824
神奈川県横須賀市西浦賀2-1-3
TEL.046-841-0057
FAX.046-842-0571

・書籍卸
・書籍販売
・文房具販売

<営業時間>
午前9時~午後7時
<休業日>
日曜・祝日

浦賀奉行所

浦賀奉行所と日本の国際化

浦賀奉行所

タイトルにもなっている「浦賀奉行所」は東京湾入り口に位置する浦賀にあって、江戸を出入りする船の積荷と人を検査する「海の関所」として重要な役割を果たした幕府の役所でした。設置された当初は流通の要衝として機能していたのであって、外国船とは全く無縁の奉行所でしたが十八世紀後半から異国船が日本に頻繁にやってくるようになると、浦賀奉行所は「海の関所」としてだけでなく異国船から江戸を守る「首都防衛の拠点」としての役割も果たしていくようになります。
幾度かの外国船の来航を経て一八五三年のペリー来航を迎えますが、その時、ペリー側と最初に対応したのは浦賀奉行所の役人でした。「海の関所」であった浦賀奉行所が「江戸防衛の拠点」となり、ペリー来航時には応接役としてペリー側との交渉にあたるようになるまでの経緯が本書の前半ではわかりやすく書かれております。
後半ではペリー来航後、浦賀奉行所の役人が幕府の海軍創設に大きな役割を果たしたことや、浦賀奉行所での経験を買われて幕府外交の最前線で活躍した元浦賀奉行所の役人の姿、幕末の動乱期のなかでの浦賀の様子が描かれています。また、明治維新を迎えて浦賀奉行所が新政府に接収された時の様子や戊辰戦争で戦死した中島三郎助の動向も紹介されています。
 本書では本来の職務である「海の関所」としての浦賀奉行所の姿はあまり書かれてはおりません。  
流通・経済に興味がある方にはその点では物足りないかもしれませんが、この本を読めば浦賀奉行所という役所やそこにいた役人がいかに日本の近代化・国際化に大きな役割を果たしたかがわかります。
 読み終わった後には浦賀奉行所についての理解が深まるとともに、奉行所のあった浦賀という土地に対する印象が大きく変わることでしょう。
(有隣堂、2015年、新書版230ページ、定価1100円)
TOPへ戻る