おすすめ本
説明書き
田中ひかる「生理用品の社会史」
40年間お待たせしました!
しかし近年、被災地などで生理用品の需要に関する問題を耳にしたり、映画「パッドマン」を視聴したことで、その当たり前は非常に有り難いものなのだと痛感しました。それと同時にふと、では今日の生理用品がなかった時代、女性たちは毎月やってくる月経とどう付き合っていたのだろうか?という疑問が起こります。今や世界と比べてもその品質の高さを誇る日本の生理用品が、いったいどのような経緯で誕生し、どのように進化していったのか?その変遷をたどる一冊を求めていたところ見つけたのが本書です。
本書は四章に分かれて構成されており、第一章では「ナプキンがなかった時代の経血処理」、第二章では「生理用品の進化を阻んだ月経不浄視」、第三章は「生理用品が変えた月経観」、第四章は「今日の生理用品」となっています。
人類誕生以来、多くの女性には月経があったと思われますが、ナプキンが誕生したのはたった50年前の話です。その理由は、まさに第二章のテーマにもなっている「月経不浄視」。生理用品の歴史について語るうえで外せないキーワードです。残念ながら現代にも、「伝統」という美名のもと、「女性(月経)=穢れ、不浄」という価値観は脈々と受け継がれ、今日にも堂々と存在していますが、多くの現代人は、恐らく女性の月経に対して、そこまで忌避すべきものという感覚は持ち合わせていないのではないでしょうか。50年前には一般の人々の間でもあからさまに語られていたという「月経=不浄」説ですが、その月経に対する陰惨な印象を変えたのも、まさに生理用品であることが第三章で説明されています。
今や身近な存在となり、日々私たち女性の暮らしを支えてくれている生理用品。今も進化を続け、布ナプキン、ナプキンのいらない吸水型サニタリーショーツ、タンポン、月経カップなど、今や清潔さのみならず、快適さの追求や、環境問題にも配慮した生理用品を生み出そうと様々なものが出ています。また、生理用品(ここではナプキンを指します)の恩恵を受けているのは女性だけではありません。その技術が介護用のおむつにも活用されていたり、病気などの影響で下着を汚してしまう恐れがある方が利用していたりと、その活躍の幅は思ったよりも広いことがわかります。そして今もなお進化を続ける生理用品の原点を、ぜひ振り返ってみてはいかがでしょうか。
田村由美「ミステリと言う勿れ」
整の語りに多くの気づきをもらえる話題のマンガ
ある冬の日、一人暮らしの大学生 久能整(くのう ととのう)が自宅でカレーを作っていると、突然警察官がやってきて身に覚えのない殺人の容疑をかけられてしまう…。そんな衝撃的な場面から物語は始まります。
月刊Flowersでも連載中とのことですので、ぜひ一度お手に取ってみてください。(ちなみに私はあまりの面白さに1~5巻まで一気に買ってしまいました…)
前田健太郎「女性のいない民主主義」
これまでの政治学にジェンダーという視点を用いてメスを入れる
本書は、そんな疑問を政治学という学問にジェンダーという視点を導入することで、“日本の女性と政治”の関係を丁寧に説明してくれる一冊です。
これからの日本の政治や民主主義としての在り方を考えたときに解決すべき課題は何か?
それらの疑問の解決のヒントが詰まった1冊でした。ぜひご一読ください。
牟田和恵『部長、その恋愛はセクハラです!』
「セクハラ」とは何なのか
ジャッキーフレミング「THE TROUBLE WITH WOMEN “問題だらけの女性たち”」
笑うに笑えない 19世紀の「大問題」な女性観
だから歴史の授業で女性の偉人について習わないのです。
男性は存在し、その多くが天才でした。“
姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』
これは彼女と彼らの、そして私たちの物語である。
物語はこの2人を柱にして、2人が中学生の頃の2008年から始まり、つばさを含む男子東大生たちが事件を起こし逮捕される2016年までの8年間を描いています。
本書を読み終えたとき、読者は問いかけられるのです。
石破茂・弘兼憲史「どうする?どうなる?ニッポンの大問題」
「誰かがやってくれる」は、もう通用しない。
前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」
日本のバッタ博士、アフリカへ飛ぶ。
そんな強烈な夢を抱き、バッタを研究しすぎてバッタアレルギーにまでなった著者が、
アフリカ・モーリタニアでのバッタ被害を食い止め、それと同時に、自身の昆虫学者になるという夢を叶えるため、苦難の道を進み始めた“序章”の物語。
1つは、そんなバッタ被害に長年悩まされているアフリカ・モーリタニアの地に赴き、その被害を食い止めようと悪戦苦闘する著者、そしてそれを支えてくれる現地の仲間たちとの冒険譚。
2つめは、日本では依然として厳しい「学者への道」を、がむしゃらに突っ走り、時につまずき、転げまわり、それでも必死に「昆虫学者になる」という夢に食らいつこうとする著者の活動記です。
監修:山本博文 「こんなに変わった!日本史教科書」
慣れ親しんだ日本史の新事実
その新事実の数は全部で67項目。新事実の浮上前・後のちがいもわかりやすく、丁寧に解説されています。
浦賀大変!かわら版にみる黒船来航
しかし、本書を通して「ペリー来航」を振り返ると「かわら版」を通じて知らなかった当時の人々や幕府の様子が垣間見え、印象の薄かった「ペリー来航」の事件がひとつの物語として完成します。黒船来航時の動揺、幕府の対応、人々の行動など、一見脇に逸れたような情報が味気ない知識に血を巡らせたようにも感じました。個人的には非常に読みやすく、面白かったです。
マイディー「ファイナルファンタジーⅩⅣ 光のお父さん」
父と距離を縮めたい息子の、泣けて笑える奮闘記
こういったゲームでは大抵、ゲーム開始時に自分の分身となるキャラクターを作成します。容姿、性別、名前は自由に設定でき、名前も本名ではなくニックネーム的なもので呼び合うことが殆どですので、匿名性が高く、プライバシーをしっかりと保護したまま、安心してネット上で遊ぶことができます。
本書は、その高い匿名性を利用し、オンラインゲームを通じて『親孝行』をしようと試みた著者とその仲間たちの奮闘記です。
齢60になった父が胃がんの手術をしたことをきっかけに、もっと父と親睦を深めたいと考えた著者ですが、なんとなく照れくさい…。そこで、父と共通の趣味であるゲームを通じて親睦を深めようと考えます。
本書を読んでいると、まるでドッキリの仕掛人になったような、コソコソして、ドキドキして、ニヤニヤしてしまう感覚が味わえます。
はたして「光のお父さん計画」は見事成功するのでしょうか?結末は、是非皆さま自身の目で見届けてください。
小池百合子「女子の本懐」
防衛大臣・小池百合子の政治活動日記
原由子「娘心にブルースを」
原坊のあの頃から今まで
ファンの方々から「原坊」の愛称で親しまれている彼女らしい、読みやすく親しみやすい文体のエッセイ集で、幼少期からサザンオールスターズのメンバーとして活躍するまでを記した、いわゆる「自伝本」です。
にしのあきひろ「えんとつ町のプペル」
総勢33名のクリエイターが作った1つの「世界」
町の中のあちこちに煙突が建っていることから「えんとつの町」と呼ばれています。
そんな「えんとつの町」のハロウィンの夜。ひょんなことから、町のゴミ捨て場で生まれてしまったゴミ人間。その不気味な見た目と悪臭から、町の人々に忌み嫌われてしまいます。しかし、そんなゴミ人間に臆することなく話しかける少年が一人。名前はルビッチ。ルビッチはゴミ人間に「プペル」と名前をつけ、2人はそれから毎日のように一緒に過ごしました。しかし、あることが原因で、ルビッチはプペルを避けるようになってしまいます。
そんな2人の友情の行く末は?
著者がお笑い芸人であること、総勢30名以上のクリエイター・イラストレーターが手がけ、4年半という長い月日をかけて生まれた作品であること、絵本として作品としての素晴らしさや、全編無料公開など、話題に事欠かない本書ですが、その話題性に負けない一冊になっています。
個人的には、書籍版をおすすめいたします。
紙の質感、発色、物語の雰囲気……絵本には、作者の『世界』が閉じ込められていると感じさせてくれた一冊でした。
中野信子・澤田匡人「正しい恨みの晴らし方」
脳や心理の観点から「恨み」のしくみをひも解く
『恨み』と言うと少し大げさかもしれませんが、それと関係性が深い『妬み・嫉妬・羨み』と言った感情は、誰もが一度は抱くことのある感情のひとつではないでしょうか。個人的には、そんな「誰もが一度は抱く感情」の中でも、特に『妬み・嫉妬・羨み』この3つの感情こそ、最も多くの人が抱くのではないかと考えております。
そんな『恨み』……あるいは妬み・嫉妬・羨みの感情が、実は自分を良い方向へ導いてくれる方法があるのはご存知でしたでしょうか?
本書に記されているその方法こそが、まさに『正しい恨みの晴らし方』なのです。また、『妬み』と『嫉妬』は同じ意味のように思えますが、似て非なるものであることや、『嫉妬』という感情は、なんと生後半年の赤ちゃんにすら存在するという驚きの研究内容も記されています。また、現代日本で最近よく目にする(もしくは耳にする)『炎上』や『過激なバッシング』なども、上記の3つの感情と深く関係していること。
他にも、私たちが普段なんとなく感じている感情のルーツを明確に言葉にされて、妙に腑に落ちたり、日本人の脳内物質に関する意外な研究データなど、面白い情報が多く、個人的にも購入してしまった一冊でした。
皆さまも是非、『正しい恨みの晴らし方』を会得してみませんか?
桂福丸「怒られ力」
新社会人は打たれてナンボ!
本書の著者は「怒ってもらったことに感謝しよう!」と本書で語っています。
山本健太郎「文房具図鑑」
その文具のいい所から悪い所まで最強解説
およそ100にも及ぶページの挿絵や文房具のイラスト、使った感想や仕組みなどについて全て手書きです。
注目していただきたいのは、シャーペンやボールペンなどのイラストの完成度の高さ。細かいところまで本物に忠実に描かれています。そしてその文房具を実際に使ってみての感想も、消費者ならではの目線を重視した率直な言葉で書かれており、仕組みや構造についての解説・知識は大人顔負け。また着眼点も鋭く、本書で紹介された文具メーカーさんから賞賛の声が多数上がっていました。
文房具図鑑の名に違わず、読んでいて思わず「へぇ~!」と言ってしまうこと間違いなし。
そのうえ、所々に小学校6年男子らしい部分も見られ、読んでいて微笑ましい気持ちにさせてくれます。
新生活、文房具の新調をお考えの方は、是非参考になさってみてください。
今なら、希望売値価格の3兆円から1500円へと、驚きのプライスダウン中ですよ!
それでは、失礼いたします。
安村敏信
ゆるかわブームがここにも
妖怪とは元々人が考え出したものであり、そうなると当然、数は年々増え続け、その種類も多岐に渡ります。最低でも1500匹もいると言われている妖怪たち。そんな中には、恐ろしいばかりでなく、こういったチャーミングな妖怪がいても不思議ではないのかもしれません。
村田沙耶香「コンビニ人間」
コンビニで渦巻く人間模様
私が本書を面白いと思ったポイントは大きく分けて2つ。ひとつは物語の舞台となる『コンビニ』の描写が非常に緻密でリアルなこと。それもそのはず、著者の村田沙耶香さんは執筆当時も現役のコンビニ店員だったのです。
もうひとつは主人公・恵子と、彼女を取り巻く周囲の人々。古倉恵子は36歳未婚の女性。これまで彼氏なし。就職もせず、大学一年生のときにオープンスタッフとして始めた「スマイルマート日色駅前店」のアルバイトも、気づけば勤続18年目に…。
個人的には、結構インパクトのある主人公のプロフィールだと思います。
しかし、当の本人である恵子はその経歴になんの疑問も感じません。時々周囲から寄せられる奇異の目やお節介な質問攻めを煩わしく思いながらも、どうにかしようという気は全くないまま、ひたすらにコンビニで働き続けます。
そんな恵子の前に、新人アルバイトの「白羽」という男性がやってきます。白羽が現れたことによって、恵子と、今までうまくやっていたと思っていた周囲の人々との間に段々と変化が訪れていくのですが、その辺りが読んでいて一番苦しくもあり、楽しくもある部分でした。
色々な人にこの本を読んでいただいて、それぞれご意見やご感想を拝見してみたいと思う一冊です。
新井紀子「ほんとうにいいの?デジタル教科書」
デジタル化への課題は多い
一時、当店の従業員の間でも「デジタル教科書は実現可能か?」などの話題が上がり、「そのためには多くの課題をクリアしなければいけないのではないか」といった結果にまとまりました。
本書もまた、教科書のデジタル化について「実現を可能にするためにクリアするべき課題」や、「教育という観点において紙とデジタル、どちらの教科書が良いのか?」など、教科書のデジタル化において気になる様々な疑問について解説しています。
デジタル教科書を実現するにあたって、一体何が「課題」なのか?
今よりもっと具体的に知りたい方におすすめの一冊となっております。
須賀しのぶ「紺碧の果てを見よ」
あの頃の浦賀がわかる
話はすぐに彼らの幼少時代へと移るのですが、兄妹が暮らしている町がなんと『浦賀』なのです。
実は、本書に登場する『浦賀』の様子は当店の社長である山本詔一(しょういち)が受けた取材を基にされているのだとか…。昔の浦賀の様子が垣間見え、非常に興味深かったです。
また、表紙やタイトルをご覧になって頂きますと分かるように、本書の物語には『海軍』が大きく関わってきます。主人公の父が造船所で働いていることもあり、横須賀海軍工廠や浦賀造船所などの施設、他には『望洋丸』に『五十鈴』など様々な船の名前も登場しますので、上記の文字を見ると胸が躍る方にもおすすめです。